CT・MRI共同利用の始め方|受け入れ準備と運用フローを解説
執筆:株式会社SMIC 公開日: 最終更新日:
「CT・MRIの空いている時間を、地域の検査ニーズに活用したい」
「共同利用に関心はあるが、予約や読影、費用の整理を何から始めればよいか分からない」
こうした医療機関にとって、最初に考えたいのは、検査依頼を増やす方法だけではありません。必要な検査を受け入れる体制と、その結果を患者さんの診療につなげる流れを整えることです。
医療機器の共同利用は、地域の設備を効率的に活用する取り組みの一つです。例えば千葉県では、CT・MRIなどを対象に共同利用を推進し、対象となる医療機関に共同利用計画や稼働状況の報告を求めています。[1]
本記事では、CT・MRIを保有する病院・クリニックに向けて、共同利用を始めるための準備を、受け入れ条件、役割分担、業務フロー、安全管理、費用・契約、運用評価の順に整理します。
この記事の要点
- 機器の空き時間ではなく、どの検査をどの体制で安全に受け入れられるかを先に整理する
- 依頼元・検査施設・読影担当の役割と連絡経路を、開始前に取り決める
- 読影レポートの返却で終わりにせず、担当医の確認と患者さんへの説明まで管理する
- 診療報酬の請求と施設間の精算を分けて確認し、患者情報の共有ルールを決める
- 運用開始後は件数だけでなく、現場の負担と安全性を振り返る
※本記事は、共同利用の運用を検討するための一般的な情報提供を目的としています。実際の体制は、医療機関の設備・人員・診療内容や、適用される制度に応じて決定してください。
1.最初に、自院が受け入れられる検査と時間帯を整理する
共同利用を検討するときは、機器の空き時間だけでなく、その時間帯に、どの検査を、どのような体制で受け入れられるかを確認しましょう。
院内での話し合いでは、次の項目を整理するところから始めます。
| 確認項目 | 整理しておきたい内容 |
|---|---|
| 対応する検査 | CT・MRIの別、撮影部位、単純・造影の別、機器や院内体制による対応範囲 |
| 受け入れ枠 | 曜日・時間帯、検査ごとの所要時間、自院患者や緊急検査との調整方法 |
| 担当する人員 | 医師、診療放射線技師、看護師、受付・予約担当者の配置 |
| 患者さんへの対応 | 車椅子や介助への対応、来院から検査終了までの動線 |
| 読影・結果共有 | 読影担当、通常の返却目安、緊急連絡の体制 |
特に造影検査では、腎機能や過去の造影剤副作用などの確認、急変時への備えが必要です。また、MRIでは、体内に植え込まれた医療機器や金属等について、検査の可否・条件を事前に確認する必要があります。単に「MRI対応」と聞くだけでなく、機器の種類や撮像条件を確認する運用が重要です。[2]
最初からすべての検査や時間帯を開放するのではなく、対応範囲を明確にしたうえで、無理のない受け入れ枠から始める方法も考えられます。
機器が空いていることと、検査を安全に受け入れられることは、分けて確認しましょう。
2.依頼元・検査施設・読影担当の役割を決める
次に整理するのは、施設間の役割分担です。
「予約は誰が確定するのか」「患者さんへの案内はどちらが行うのか」「結果は誰が説明するのか」を、開始前に決めておきます。
以下は、検査後の結果説明を依頼元の医師が行う場合の役割分担例です。すべての共同利用に一律に当てはまるものではありません。
| 業務 | 担当の例 | 事前に決めること |
|---|---|---|
| 検査の依頼 | 依頼元の医師 | 検査目的、確認したい疾患・所見、必要な診療情報 |
| 予約の調整 | 双方の予約・連携担当者 | 依頼方法、予約確定の連絡、変更・キャンセルの窓口 |
| 検査前確認・撮影 | 検査施設の医師・診療放射線技師・看護師等 | 実施可否の確認、本人確認、検査説明、急変時対応 |
| 読影 | 読影担当医 | 読影範囲、返却目安、緊急所見の連絡方法 |
| 結果確認・患者さんへの説明 | 依頼元の担当医 | 確認期限、結果説明の予定、未確認・未受診時の対応 |
| 会計・請求 | 各施設の医事担当者 | 制度上の請求方法、患者負担の案内、施設間の精算 |
この表をもとに、各施設の担当者名と連絡先を入れておくと、実際の連絡経路を確認できます。
また、読影レポートを返却したことだけで、結果に関する対応が完了するわけではありません。
日本医療機能評価機構の報告事例では、画像診断報告書の重要所見が診療に活用されなかったことを受け、報告書の確認手順や、未確認の報告書への注意喚起などが改善策として示されています。共同利用でも、施設をまたいで結果が渡ることを踏まえ、誰が確認し、必要な対応を行うかを明確にしておく必要があります。[3]
3.検査依頼から結果説明まで、一連の流れを作る
役割分担が決まったら、業務を一連の流れとして確認します。
基本となる運用例は、次のとおりです。
ここでは、特に三つの点を整理しておきましょう。
検査依頼に必要な情報をそろえる
依頼時には、撮影部位だけでなく、「何を確認するための検査なのか」を共有する運用にします。
例えば、依頼書や予約画面に、検査目的、症状・経過、関連する既往歴、比較したい過去画像の有無などを記載する欄を設けます。
造影検査やMRIについては、安全確認に必要な項目もあわせて整理します。必要情報が不足している場合は、予約確定や検査実施の前に、誰が依頼元へ確認するかを決めておきます。[2]
患者さんへの案内を統一する
患者さんに渡す案内には、来院日時・場所、持ち物、検査に応じた事前準備、会計の場所、結果説明を受ける医療機関を記載します。
食事や服薬に関する案内は、検査内容や患者さんの状態に応じて医療者が判断し、依頼元と検査施設で説明が食い違わないようにします。
予約確定の段階で、「検査を受ける場所」と「結果を聞く場所」が分かる状態を目指しましょう。
結果の送信と、担当医の確認を分けて管理する
撮影後は、患者情報と画像の対応を確認したうえで、画像や読影レポートを共有します。
その後は、送信済みかどうかだけでなく、担当医が内容を確認し、必要な診療対応につなげたかを確認できる運用にします。システム上の表示だけに頼らず、確認担当と記録方法も決めておくことが大切です。[3]
4.通常どおり進まない場合の対応も決めておく
運用開始前には、通常の流れだけでなく、予定どおり進まない場合も想定します。
必要な情報が不足している場合
検査前の確認事項がそろっていないときは、そのまま進めるのではなく、担当者が不足情報を確認する手順を設けます。
追加確認が必要な場合の連絡先と、日程変更を患者さんへ伝える担当も決めておきましょう。
緊急の対応を要する所見が見つかった場合
緊急性のある所見については、通常のレポート返却を待たず、担当医へ直接連絡する経路を定めます。
連絡した事実だけでなく、相手が内容を受け取ったことを確認し、連絡日時・相手・対応内容を記録します。
依頼元が休診中、担当医が不在などの場合の連絡先や、その後の対応も合意しておきます。重要所見の伝達基準や確認体制を整える考え方は、医療安全に関する報告事例でも示されています。[3]
システムや通信に障害が起きた場合
予約情報や画像を確認できない場合に、検査を継続できる条件、延期の判断、連絡手段を決めます。個人のメールや未承認の共有サービスを、その場の判断で代替手段にしない運用も必要です。
障害やサイバー攻撃などの非常時について、医療機関とサービス提供事業者の対応範囲・連絡体制を事前に取り決めることは、厚生労働省の安全管理ガイドラインでも重視されています。[4]
5.費用・契約・患者情報の取り扱いを整理する
共同利用を始める前には、検査の流れとあわせて、制度面と契約面を確認します。
診療報酬の請求と、施設間の精算を分けて確認する
まず、次の二つを分けて整理しましょう。
- 診療報酬の請求は、実際の診療体制や算定要件に照らして確認する事項です。
- 施設間の精算は、各施設が担う業務や費用負担について取り決める事項です。
「共同利用」という名称だけで、請求する施設や算定項目を決めるのではなく、「画診共同」の取り扱いを含め、最新の点数表、留意事項、施設基準、疑義解釈等を確認してください。判断が必要な場合は、管轄の地方厚生局等の照会先へ確認します。[5]
契約では、撮影・読影・システム利用などの費用負担、精算方法、対応範囲、連絡窓口を明文化します。患者さんへの会計案内も、確認した運用に合わせて統一しましょう。
患者情報の共有方法を決める
患者情報については、利用目的、共有する相手、共有する情報の範囲、患者さんへの説明や同意の取り扱いを整理します。
他の医療機関への情報提供に関する同意の扱いは、一律ではありません。個人情報保護委員会は、医療提供に必要で利用目的が明示されている場合の考え方と、状況によって明確な同意が求められる場合を示しています。実際の共有形態に応じて確認することが必要です。[6]
システムの機能だけでなく、管理する側の責任も確認する
オンラインで画像を共有する場合は、閲覧権限、利用者の認証、操作記録、保存・削除、障害時対応などを確認します。
サービスを利用する医療機関側でも、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の最新版を確認し、管理体制や事業者との責任分担、運用ルールを整えることが重要です。[4]
また、機器の新規導入・更新を伴う場合などは、所在地の都道府県における共同利用計画や報告の対象となるかも確認してください。千葉県では、対象や提出方法が公開されています。[1]
6.運用開始後は、件数だけでなく負担と安全性を確認する
運用が始まったら、検査件数だけで評価するのではなく、患者さんへの対応や現場の負担もあわせて振り返りましょう。
例えば、次のような項目を、院内の運用評価に用いる方法があります。
| 確認する項目 | 振り返るポイント |
|---|---|
| 依頼件数・受け入れ件数 | どの検査、曜日、時間帯に依頼があるか |
| 予約調整にかかる時間 | 電話や確認の往復がどこで発生しているか |
| 情報不足による差し戻し | 依頼書や予約画面に不足している項目はないか |
| 結果共有までの時間 | 取り決めた目安に沿って返却できているか |
| 結果確認・説明の状況 | 未確認や説明漏れを把握する運用が機能しているか |
| 業務負担と収支 | 職員の追加業務や関連費用を含め、継続可能な運用か |
これは、すべての施設に共通する必須指標ではなく、改善のための確認項目例です。
情報の差し戻しが続くなら、依頼時の入力項目を見直す。予約調整に時間がかかるなら、受け入れ条件や窓口を整理する。こうした振り返りを、受け入れ枠の拡大より先に行うことも大切です。
検査件数を増やすこと自体ではなく、医学的に必要な検査を、無理なく継続して受け入れられる体制を目指しましょう。
まとめ|共同利用は、結果を診療につなげるところまで設計する
CT・MRI共同利用の準備では、機器の空き枠に加えて、受け入れ条件、施設間の役割分担、結果確認、緊急時対応、費用・契約、情報管理を一体で整理することが重要です。
最初の一歩として、まずは自院が対応できる検査と時間帯を一覧にし、検査依頼から結果説明までの担当を決めることから始めてみてはいかがでしょうか。
院長、事務長、放射線部門、看護部門、医事・予約担当者が同じ流れを確認することで、自院で整えられる部分と、外部の支援が必要な部分を整理できます。
SMIC|ScanShare
CT・MRI共同利用をご検討の医療機関様へ
株式会社SMICが提供するScanShareは、検査予約、画像共有、遠隔読影、読影レポートの返却をつなぐサービスです。共同利用と遠隔読影を組み合わせた運用について、施設の状況や利用目的を確認しながらご案内しています。[7]
「自院の体制で共同利用を始められるか確認したい」
「検査予約から画像・読影レポートの共有まで、具体的な流れを知りたい」
このような段階からご相談いただけます。現在の検査体制や課題をお聞かせください。
共同利用の導入に関するご相談は、当サイトのお問い合わせフォームからご連絡ください。
※対応内容や利用条件は、施設の設備・運用環境・契約内容等により異なります。検査依頼件数、稼働率、収益の向上を保証するものではありません。
参考資料
- 千葉県:医療機器の共同利用に関する案内・共同利用計画等の提出に関する資料(医療機器の効率的な活用)
- 日本医学放射線学会:画像診断ガイドラインにおける造影検査・MRIの安全確認に関する情報
- 日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業における画像診断報告書の確認・重要所見の伝達に関する報告事例(医療安全情報)
- 厚生労働省:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン
- 厚生労働省:令和8年度診療報酬改定に関する通知・関連資料
- 個人情報保護委員会:医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いに関するガイダンスのQ&A
- 株式会社SMIC:ScanShareサービス案内
