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CT・MRIの稼働率とは?基本の考え方と伸びない理由|SMIC

CT・MRI共同利用について

CT・MRIの稼働率を上げたい、という話はよく聞きます。ただ「そもそも何を見ればいいのか」から整理されている医療機関は多くありません。この記事では、専門用語をできるだけ使わず、順を追って説明します。

こんな方に向けた記事です
  • CT・MRIを導入したが、件数が伸びず気になっている
  • これから導入を検討していて、運用の考え方を知りたい
  • 「稼働率」という言葉は聞くが、何をどう見ればいいか分からない
この記事の要点
  • 稼働率とは、撮影できる枠のうち実際に撮影している割合のこと。経営では「1日あたりの撮影件数」に置き換えて考えます。
  • 厚生労働省の令和5(2023)年 医療施設調査では、一般診療所の16列以上64列未満CTは1施設あたり月55.9人。月20診療日で割ると1日およそ2.8件です。
  • 件数が伸びない原因は機器ではなく、依頼が入ってくる経路にあります。自院の患者だけでは診療圏の人口が上限になります。

執筆:株式会社SMIC | 公開日:2026年9月21日 | 最終更新日:2026年9月21日

そもそも「稼働率」とは何ですか?

稼働率とは、撮影できる枠のうち実際にどれだけ撮影しているかを示す割合です。ただし経営の話をするときは、「1日に何件撮っているか」という件数に置き換えたほうが分かりやすくなります。

稼働率という言葉は、機器がどれだけ使われているかを表します。ただ、この言葉のままでは判断に使いにくいところがあります。「稼働率60%」と言われても、それが良いのか悪いのかが分からないからです。

そこで私たちは、1日あたりの撮影件数に置き換えて考えることをお勧めしています。1日3件なのか5件なのか。これなら現場の感覚とも一致しますし、他の医療機関の水準とも直接比べられます。

なぜ件数が増えると経営が楽になるのですか?

CT・MRIには、撮影するかしないかに関係なく毎月ほぼ同額かかる費用(固定費)があるからです。件数が増えれば、その固定費を多くの件数で分け合えます。

CTを1台置くと、次のようなお金が毎月かかります。

  • 機器の代金(ローンやリースの支払い)
  • 定期点検・保守の費用
  • 撮影室の維持費
  • 担当する診療放射線技師の人件費

これらは1日1件しか撮らなかった月でも、1日10件撮った月でも、ほぼ同じ金額です。こうした「件数に関係なく出ていくお金」を、固定費と呼びます。

つまり、件数が増えると、1件が背負う固定費の重さが軽くなります。

数字を簡単にした例

仮に、CTにかかる固定費が月100万円だったとします。

その月に20件撮影したなら、1件あたりの固定費は5万円です。40件撮影したなら、1件あたり2万5千円まで下がります。かかったお金は同じ100万円なのに、1件あたりの重さは半分になります。

(分かりやすくするための例です。実際の金額ではありません)

固定費は同じ100万円。件数で割った結果が変わります
固定費 100万円 ÷ 20件
1件 5万円1件が背負う固定費
固定費 100万円 ÷ 40件
1件 2万5千円半分の重さになる

件数が増えると、1件あたりの固定費の負担は軽くなります。稼働率を上げることが経営に効くのは、この仕組みによるものです。説明のための例で、実際の金額ではありません。

ほかの医療機関は1日何件くらい撮っていますか?

厚生労働省の調査によると、一般診療所の16列クラスのCTは、1か月あたり平均55.9人です。月20日の診療日で割ると、1日およそ2.8件になります。

出典:厚生労働省「令和5(2023)年 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」(PDF

この数字は、厚生労働省「令和5(2023)年 医療施設調査」に掲載されているものです。全国で4,061の診療所が該当し、16列以上64列未満のCTの設置台数は4,085台、2023年9月中の実施患者数は226,849人。これを施設数で割った平均が1施設あたり55.9人でした。

厚生労働省調査の数値を「1日あたり」に直すと
全国の対象施設
4,061診療所
1施設あたり1か月の実施患者数
55.9
月20診療日で割ると
約2.8件/日

実施患者数は2023年9月中の数値です。月20診療日は単純換算のための仮の日数であり、実際の診療日数によって結果は変わります。

まずは、自院が1日平均で何件撮っているかを出してみてください。そのうえで2.8件と比べると、いま自院がどのあたりにいるのかが見えてきます。下回っているなら伸ばす余地があり、上回っているなら、その水準を保てる仕組みがあるかを確認することになります。

平均と比べるときの注意

55.9人という数字は、全国の実績を平均したものです。「自院もこの件数を達成できる」という意味ではありません。診療科の種類、地域の人口、近隣の医療機関とのつながり、造影検査に対応しているかなどで、妥当な件数は大きく変わります。

比べる目的は、自院がいまどのあたりにいるのかを知ることです。順位をつけるためではありません。

MRIでも同じ考え方でいいですか?

考え方は同じです。ただしMRIは毎月かかる費用(維持費)がCTより大きく、1日に撮れる件数の上限も低いため、空いた枠をひとつ埋めることの重みが増します。

MRIとCTでは、次の点が違います。

  • 装置そのものの価格が高く、毎月の支払いが大きい
  • 設置時に磁気シールドの工事が必要になる
  • 超伝導型の装置では、冷却に関わる費用が継続的にかかる
  • 保守契約の金額も高い水準になる
  • 1件あたりの撮影時間が長く、1日に受けられる件数の上限が低い

毎月の費用が大きく、なおかつ1日に撮れる件数に上限がある。この2つが重なるため、MRIでは空いている枠をひとつ埋めることの意味がCTより大きくなります。MRIを持っている医療機関から稼働率のご相談が多いのは、この構造によるものです。

件数が増えないのは、何が原因ですか?

機器の側ではなく、検査の依頼が入ってくる経路の側に原因があることが多いです。ご相談のなかで繰り返し出てくるのは、次の4つです。

自院の患者数で上限が決まってしまう

自院を受診した患者のうち、撮影が必要になる人数には限りがあります。院内の工夫だけでは、この上限を超えられません。

空いている枠が外から見えない

近くの医療機関が「今日ここで撮れるか」を知る方法がありません。そのたびに電話で確認するしかない状態では、依頼は習慣になりません。

受け入れる手間が大きい

空き枠の確認、紹介状の受け取り、患者情報の確認、画像をCD-Rに書き出して郵送、結果の返送。この一連の作業があるため、受ける側も依頼する側も件数を増やしづらくなります。

実績を記録していない

月に何件、どこから依頼があったのかを残していないため、増えたのか減ったのかが分かりません。判断のもとになる材料がないまま、「なんとなく少ない」という感覚だけが残ります。

件数を増やす方法はありますか?

方向は2つあります。院内の運用を見直すこと、そして地域の医療機関から検査を受け入れることです。

院内でできること

どんなときに撮影するかの院内の基準を整える、検査の予約枠を時間帯ごとに分散させる、撮影できる時間を広げる。こうした見直しには一定の効果があります。

ただし前の項目で書いたとおり、自院の患者数という上限があります。院内の工夫だけで伸ばせる幅には、どうしても限りがあります。

地域から検査を受け入れる

もう一つは、CTやMRIを持っていない近くの医療機関から、検査の依頼を受け入れる方法です。これを制度上は共同利用(診療報酬の実務では「画診共同」)と呼びます。くわしくはCT・MRIの共同利用とは?で解説しています。

新しく機器を買う必要はありません。すでにある機器の空いている枠を、そのまま撮影件数に変えられます。

件数を伸ばせる範囲のちがい
院内の工夫のみ
自院の患者が対象。診療圏の人口で決まる上限にぶつかり、頭打ちになります。
共同利用を加える
自院の患者に、地域の医療機関からの受け入れが上積みされます。上限の外側にある需要を取り込めます。

自院の患者だけを見ていると、診療圏の人口で決まる上限にぶつかります。共同利用は、その上限の外側にある需要を取り込む方法です。

ただし、依頼先を増やすだけでは続きません。さきほど挙げた手間が残っていると、一度は依頼があっても二度目につながらないからです。依頼する側と受ける側の両方で、手間が増えない形にすることが条件になります。具体的には、次の流れを整えることです。

  • 検査の依頼を一か所で受け付け、記録に残す
  • 受け入れられる枠を、依頼する側が自分で確認できるようにする
  • 撮影した画像を、郵送ではなくオンラインで渡す
  • 読影の体制を確保し、結果を返すまでの日数を決めておく
  • 結果のレポートを、依頼と同じ経路で共有する
  • 件数と依頼元を記録し、毎月確認する

当社が提供するScanShareは、この6つをひとつの仕組みで運用できるようにするサービスです。

診療報酬の取り扱いについて

共同利用による撮影の診療報酬の請求は、誰が診療の主体になるか、撮影と読影の責任をどう分けるか、契約の形、施設基準を満たしているかによって取り扱いが変わります。所定の記載が必要になる場合もあります。

実際に始める際は、地方厚生(支)局、医事の担当者、税務や法務の専門家にご確認ください。

まとめ

この記事でお伝えしたことは、3つです。

  • CT・MRIは撮影しなくても毎月お金が出ていくため、件数が増えるほど1件あたりの負担が軽くなります。
  • 全国の一般診療所の平均は、16列クラスのCTで1日およそ2.8件。まず自院の件数を出して、この水準と比べるところから始まります。
  • 件数が伸びない原因は機器ではなく、依頼が入ってくる経路にあります。自院の患者だけを見ていると、診療圏の人口で決まる上限にぶつかります。

地域の医療機関が持っている検査のニーズを、お互いの手間を増やさずに受け入れられるかどうか。ここが、CT・MRIを「高い診断設備」から「収益を生む経営資源」へと変える分かれ目になります。

この記事に出てきた言葉

本文で使った用語を、あらためて簡単にまとめました。

稼働率
稼働率とは、撮影できる枠のうち実際にどれだけ撮影しているかを示す割合です。経営の判断には「1日あたりの撮影件数」に置き換えたほうが使いやすくなります。CT稼働率・MRI稼働率とも呼ばれます。
固定費
固定費とは、撮影件数に関係なく毎月ほぼ同じだけ出ていく費用のことです。機器の支払い、保守費、撮影室の維持費、担当技師の人件費などが含まれます。機器の「維持費」と呼ばれることもあります。
診療圏
診療圏とは、その医療機関に患者が来院する地理的な範囲のことです。ここの人口が、自院の患者から発生する検査件数の上限を決めます。
共同利用
共同利用とは、CTやMRIを持っている医療機関が、持っていない医療機関の患者の検査を引き受ける形態です。持っている側は稼働が増え、持っていない側は設備投資なしに検査を提供できます。診療報酬の実務では「画診共同」と表記されます。
遠隔読影
遠隔読影とは、撮影した画像をオンラインで送り、離れた場所にいる専門医が読影してレポートを返す仕組みです。遠隔画像診断とも呼ばれます。院内に画像診断の専門医がいなくても、専門的な読影結果を得られます。
DICOM(ダイコム)
DICOM(ダイコム)とは、CT・MRIなどの医用画像を扱うための国際的な共通規格です。この規格に沿っているため、異なるメーカーの機器で撮影した画像でもやり取りできます。
自院の現在地を、数字で確認しませんか

いまの撮影件数と、機器にかかっている費用をお聞かせいただければ、次のような点を整理してお返しします。

  • 自院の件数が、全国の水準に対してどの位置にあるか
  • いまの費用構造で、どのくらいの件数が目安になるか
  • 地域から受け入れられる余地が、どの程度あるか

「まず話を聞いてみたい」という段階でのご相談も承っております。

導入相談・資料請求
出典

厚生労働省「令和5(2023)年 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/23/dl/11gaikyo05.pdf

この記事の内容について

「固定費が月100万円」とした説明は、仕組みを分かりやすくお伝えするための例であり、実際の費用水準を示すものではありません。

本稿は稼働率に関する一般的な考え方を整理したものであり、特定の医療機関における収益や経営成果を保証するものではありません。実際の収支は、機器の取得価格、リース条件、保守費、人件費、読影費、診療報酬、診療日数、患者構成などにより異なります。

共同利用の運用および診療報酬の請求に関しては、診療の主体、撮影および読影の責任範囲、契約形態、施設基準等を個別に確認する必要があります。実施に先立ち、地方厚生(支)局および各分野の専門家へご確認ください。

お問い合わせ・ご相談はこちら
【HP】https://smic-inc.jp/

ScanShare|画像診断機器の共同利用と遠隔読影|株式会社SMICScanShareは、株式会社SMICが運営する、画像診断機器の共同利用と遠隔読影を支えるサービスです。CT・MRIの空きsmic-inc.jp

【共同利用特設サイト】https://clinquant-alpaca-50220a.netlify.app/

【mail】support@smic-inc.com

代表兼執筆者プロフィール

画像

医療法人社団 慈水会 理事長
株式会社SMIC 代表
清水 勧一朗

放射線診断専門医として、大学病院・労災病院などで画像診断、放射線科診療、IVR領域に従事。
東京慈恵会医科大学附属柏病院では、放射線部 診療副部長を務め、画像診断・院内連携・診療体制の整備に携わってきました。

2024年より医療法人社団ゆりな会 理事、同年11月より医療法人社団慈水会 理事長に就任。
医療現場での画像共有・読影依頼・診療連携における実務上の課題を踏まえ、医療機関がよりスムーズに遠隔読影を導入できる仕組みづくりに取り組んでいます。

主な経歴

1997年4月
東京慈恵会医科大学 医学部 医学科 入学

2005年4月
東京慈恵会医科大学附属病院 放射線医学講座 医員

2006年4月
東京慈恵会医科大学附属柏病院 放射線部 診療医員

2008年6月
放射線診断専門医

2009年1月
独立行政法人 労働者健康安全機構 東京労災病院 放射線科

2010年1月
東京慈恵会医科大学附属柏病院 放射線部

2012年11月
日本IVR学会専門医

2023年4月
東京慈恵会医科大学附属柏病院 総合診療内科

2024年4月
東京慈恵会医科大学附属柏病院 放射線部 診療副部長
東京慈恵会医科大学附属柏病院 放射線部 退職
国際医療福祉大学院 修士課程 医療福祉経営専攻 入学
医療法人社団 ゆりな会 理事就任

2024年11月
医療法人社団 慈水会 理事長就任